
2007年4月16日に起きたバージニア工科大学銃乱射事件のチョ・スンヒ容疑者は 場面緘黙症の診断を受けていたことが 米国を中心に報じられました。 ここでは、それらの報道について簡潔にまとめます。
なお、報道に新しい動きがあれば、随時更新します。
2007年8月20日、容疑者が 場面緘黙症の診断を受けていたことを The Wall Street Journal が報じました。 これを皮切りに、容疑者と場面緘黙症に関する報道が米国を中心に広がりました。
米国Yahoo!のニュース検索サイトで "selective mutism"(場面緘黙症)と検索すると100件以上がヒットしますが、 そのほとんどが、事件に関するものです(2007年9月8日現在)。 ただしその内容は、場面緘黙症について大きく取り上げたものから、軽く触れた程度のものまで様々です。
場面緘黙症の研究ではおそらく米国では最も著名な人物である Elisa Shipon-Blum 氏は、 この事件について複数のメディアから取材を受けたようで、 そのコメントが ABC News などに掲載されています。
報道された件数は2007年8月30日がピークで、現在は減少しています。
容疑者と場面緘黙症について触れたメディアのうち、主要なものを列挙します。
なお、ここで挙げたものは2007年9月8日現在のもので、全てインターネット版で確認したものです。 大きく取り上げられているものから軽く触れられているものまで様々です。 また、一つのメディアが複数回にわたって報道したケースもあります。
[米国]
The Wall Street Journal, USA Today, The Washington Post, Los Angeles Times, Associated Press, ABC News,
[米国以外]
The Guardian(英), Toronto Star(加), International Herald Tribune(国際紙), 『毎日新聞』(日)
他にも、豪、南ア、ペルーのメディアによる報道も確認しています。
2007年8月30日には、 事件の調査を行っていた Virginia Tech Review Panel が報告書を発表しました。 これはインターネットを通じても公開されていますが、この報告書の中にも、場面緘黙症に関する記述があります。
また、この報告書の概要はメディアで伝えられました。
報道の内容は様々です。ある程度詳しく報道しているメディアだと、 容疑者が高校時代 special education(特別な教育、特別支援教育のことか) に置かれていたことや、その頃に受けていた具体的な指導・治療の内容、 さらには容疑者の情緒障害に関する情報が 大学に引き継がれなかったこと等を、伝えています。
残念ながら、一部の報道の中には、場面緘黙症を誤って説明しているものがあります。 例えば The Wall Street Journal の 2007年8月20日 の記事 "From Disturbed High Schooler to College Killer" は、 場面緘黙症を「不安が関連した発話の拒絶」(anxiety-related refusal to speak)と説明しています。 また、Associated Press が2007年8月30日頃に配信した記事には、場面緘黙症を発症した人には時々、 「受動的攻撃的で、頑固で、支配的な特徴」("passive-aggressive, stubborn and controlling traits") を示すという、あるリポートの説明を引用しています。
英語圏のブログでは、これまで数日に1件ぐらいしか言及されることのなかった場面緘黙症が、連日何件も言及されるようになりました。私が運営する英語ブログでも、事件と場面緘黙症に関する記事を書いたところ、アクセス数が急増しました。
また、Wikipedia(英語版)では、容疑者が場面緘黙症の診断を受けていた事実が新たに書き加えられました。 Seung-Hui Cho, Selective mutism
2008年4月8日、英国の BBC (BBC Two) テレビの "This World" において、 事件の特集番組 "Massacre at Virginia Tech" が放送されました。 番組の中では、場面緘黙症についても触れられています。 BBC がなぜこの時期にこうした番組を組んだのかは私にはよく分からないのですが、 もしかしたら事件からおよそ1年という節目の時期にあったからもしれません。
この放送の翌日、The Independent、Times、The Daily Telegraph といった英国の主要新聞が BBC の特集番組について触れ、その中で場面緘黙症についても言及しています(電子版で確認)。
事件から1周年にあたるこの時期には事件についての報道が増えましたが、 英国や地元バージニアのメディアなどの一部メディアは、その中で場面緘黙症についても触れています。
ABC News で、Elisa Shipon-Blum 氏も指摘しているのですが、 場面緘黙症そのものは、今回の事件のような破壊的行為とは何のつながりもありません。
※ 日付は、いずれも現地時間です。
[関連ページ]
※ 上の関連ページは、全て場面緘黙症Journalブログ内のエントリーです。
09/08/2007公開 05/03/2008編集