場面緘黙(かんもく)症。選択性緘黙。学校など特定の場面で話せません。


後遺症は?

いわゆる場面緘黙症の後遺症についてです。

ドイツの研究

後遺症と関係がありそうな数少ない研究としては、まず、ドイツのフィリップス大学の研究グループによるものがあります。

この研究では、専門機関に紹介されたことのある元場面緘黙症児41人の追跡調査が行われています。 調査の対象となった元場面緘黙症児は平均年齢20.5歳、標準偏差6.7歳で、 追跡期間は平均12.0年、標準偏差5.2年です。

41人のうち、16人(39%)に症状の完治が確認されたのですが、 一方で、残りの25人(61%)には、何らかのコミュニケーション上の問題が残っていました (知らない状況、見知らぬ人との会話、電話を使うことを恐れるなど)。

また、精神運動症状(35%)、注意欠陥問題(29%)、うつなどの情緒的問題(19%)、 不安な気分状態(10%)、衝動性(48%)などの精神病理学的な問題も発見されました。 それから、元場面緘黙症児は、一般の人たちに比べて、自分たちのことを独立、学習面や労働面での意欲、成熟、健康面において、 劣っていると表現する傾向があることが分かりました。 加えて、ストレス耐性も弱く、心を開く傾向も薄いことも明らかになっています(Remschmidt ら, 2001)。

スイスの研究

これとは別に、スイスのチューリッヒ大学の研究グループによる追跡調査もあります。 調査の対象となった元場面緘黙症児は33人で、平均21.6歳、標準偏差3.3歳です。

この研究グループは、元緘黙症児が何らかの精神疾患の診断基準に当てはまるかどうかを調べ、 緘黙ではなかったが不安障害の人(26人)、緘黙でも不安障害でもなかった人(30人)との比較を行っています。 診断の結果、何らかの精神障害や恐怖性障害を持った元緘黙症児が それぞれ19人(57.6%)、14人(42.4%)いて、 不安障害でも緘黙でもなかった人に比べると有意に多いことが分かっています(Steinhausen ら, 2006)。

私が見た印象

私がネットで見たところ、元場面緘黙症児の方の中にはすっかり克服してしまって 現在では何も問題がないという方もいらっしゃいますが、 その一方で成人しても人付き合いが苦手だとか声が小さいだとかいった問題で悩んでいらっしゃる方も見かけます。 中には、大人になっても場面緘黙症が治らない「大人の場面緘黙症」とでも言うべき症状を持つ方を見かけることがあります。 こうした方の多くは、本人が満足いくような社会生活を営めていないようです。