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題名: 「テレフォン人生相談」での緘黙相談
投稿日時: 2010-11-29 12:01:34
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ラジオ番組「テレフォン人生相談」での 場面緘黙症の相談が流出?
しています。動画共有サイト「zoome」で確認しました。以下、その
「zoome」へのリンクです。

http://search.zoome.jp/combine_tag?q=%A5%C6%A5%EC%A5%D5%A5%A9%A5%F3%BF%CD%C0%B8%C1%EA%C3%CC%A4%CE%CF%BF%B2%BB+%E5%C8%CC%DB&q_afs=1

どうやら3人兄弟の内の次男が、不登校がきっかけで「場面緘黙症」と診断されたようです。

ご参考まで。

「zoome」のリンク規定がよく分からないので、違反しているようなら削除お願いします。


題名: 気になる発言・・・・
投稿日時: 2010-11-30 21:57:47
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規定はともかくとしてとりあえず聴いてみました。

しかし、この回答、どうも気になります・・・・。
(多数回聴いたわけではないので聞き逃しや間違いもあるかもしれませんが)

というのは、「場面緘黙症っていうのは、まあ、広い意味でいうと自閉症という概念の中の1つの症状を表していて」という言い回しが出てきたからです。

これは、どういうことを言いたいのか・・・・・・
ズバッと言っている訳ではないので、う~んという感じでしたが。
「広い意味」と言われると答えに詰まってしまいます。

こちらに集まる他の方(特に専門家)のご意見を伺いたいです・・・。

*************

この方は、「場面緘黙症=自閉症スペクトラム障害」と見ているのでしょうか?
そうだとしたらこれは間違いなのでは?

(たしかこのお母さんの口からは一言もアスペルガーや高機能広汎性発達障害という言葉は出てこなかったような・・・)

回答者の全体的な口調からは、邪推かもしれませんが、自閉の問題によって不登校になったような印象を受けなくもありません。
でも、場面緘黙であるならば、不安で不登校になるというのが最も妥当な線な気がします。

それと、緘黙症状が軽い=自閉症の症状が軽い と言っている様な印象を受けたのは私だけなのでしょうか・・・(もしそうでなかったとしたらごめんなさい)



確かに、場面緘黙症状を示す子の中には 広汎性発達障害を併せ持つ場合もあります。
その場合は、今の診断基準では、ふつうは場面緘黙の診断は下せず、自閉症スペクトラムの診断が優先されるとのこと(下記 基準E参照)。
「広汎性発達障害の場面緘黙状態(つまり二次障害)」という診断になるでしょうか。


※2010年11月23日付けの、かんもくネット角田圭子会長の書き込みの中にもあります。

http://bb2.atbb.jp/kanmokunet/viewtopic.php?t=9&start=30&sid=ac31689e615e1e5c9baf6ba8de8fab54



その点で言えば、現在、場面緘黙の「症状」が自閉症の中に「組み込まれている」とは言えるのかもしれません。

とはいえ、「場面緘黙=自閉症」と見なすとしたらそれは間違っているように思います。

自閉症は脳の器質的な障害、場面緘黙は(SMGによれば)主に抑制的な気質からくる複合的な不安障害です。
自閉症を併せ持っていない限り脳の器質的問題が原因とはいえません。

自閉症特有の認知の仕方・不安、過敏性が緘黙の発症に影響していることはあるかもしれませんが、場面緘黙があるからといって100%自閉症(広汎性発達障害)があるというわけではないはずです。

断言できるのは、場面緘黙は広汎性発達障害・自閉症スペクトラムには属していないということです。

この方の話を聞くと、緘黙ときいた瞬間からPDD(広汎性発達障害)を連想している印象を受けます。そこが少し気になります。

SMGの『場面緘黙に関する迷信TOP10』
の中の#MYTH 8 に「自閉症というのは迷信」という箇所があります。

http://www.selectivemutism.org/resources/library/SM%20General%20Information/Top%20Ten%20Myths%20about%20SM.pdf



DSMの診断基準も、症状について言っているだけで「緘黙とはどのような症状なのか」については一切触れていません。そのため、内側の不安感よりも「喋らない状態」があるかないかだけが焦点となり
それが見られなければ除外という形になりやすいのだろうと思います。
だから診断も医者の主観に左右されやすいのでしょう。この方は、「なぜ緘黙するのか」について具体的な見解を述べていらっしゃらないのでどのようにご覧になっているのかわからないのですが・・・


これらを考えると、あまり「自閉症」というと世間の方に誤解を招く可能性もあるのではないかと不安になりました。

日本には情報が出回っていないことを考慮すれば、激高はしませんが、気にはなります。
まずは緘黙関係者の方々の声を伺いたいです。こちらに聞き間違いがあったらスミマセン。


※DSM-Ⅳの診断基準です(ウィキペディアより引用)-----

A 他の状況では話すことができるにもかかわらず、ある特定の状況(例えば学校のように、話すことが求められる状況)では、一貫して話すことができない。

B この疾患によって、学業上、職業上の成績、または社会的な交流の機会を持つことを、著しく阻害されている 。

C このような状態が、少なくとも一ヶ月以上続いている。(これは、学校での最初の一ヶ月間に限定されない)

D 話すことができないのは、その社会的状況において必要とされている話し言葉を知らなかったり、また、うまく話せない、という理由からではない。

E コミュニケーション障害(例えば、吃音症)では説明がつかず、また、広汎性発達障害、統合失調症またはその他の精神病性障害の経過中以外にも起こるものである。


---------------------
___________________________
SMGの基本的な見解を述べたものはおそらくこのページだろうと思います。
http://www.selectivemutism.org/faq/faqs/what-is-selective-mutism-sm/?searchterm=criteria%20DSM

______________________

PS. 緘黙の子どもたちも「融通が利かない・こだわりが強い」という自閉症と似たような問題を抱えていますが、そうなる「心理」は必ずしも自閉症と一致しない気がします・・・不安への対処について一切触れていないんですよね、この回答・・・


題名: 緘黙症と自閉症、それから欲張って脳も。
投稿日時: 2010-12-24 17:23:30
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 18
確かに、テレフォン人生相談の回答者が「場面緘黙症=自閉症」という捉え方をしているような印象を受けますね。

ただ、この電話相談だけでこの回答者が「場面緘黙症=自閉症」と一般化して考えているかは分かりません。というのも、「話しかえられたら返事はできる」「場面緘黙症はもう少し小さい子に対して使う」というような発言があるからです。もしかしたら、回答者は、「今回の緘黙児は少し返事ができるみたいだし、ちょっと年齢が行き過ぎているから、緘黙じゃないかも?」と考えたかもしれません。ただし、その場合でも、年少の頃の緘黙症を長期間引きずる可能性を見過ごしているのでは?と思ってしまいます。

いずれにしても、現時点では「緘黙症≠自閉症」といえるでしょう。
現に、自閉症の人の扁桃体は活動性が低く、緘黙症の人の扁桃体は活動性が高い考えられています。扁桃体の活性だけをみてみると、全く正反対です。ただ、緘黙症の神経科学的研究はほとんど皆無に近いので、本当に緘黙症の人の扁桃体の活性が高いのか分かりません。

また、扁桃体を観るのも結構ですが、扁桃体と相互連絡している眼窩前頭前野の働きを忘れてもらっては困ります。一般に、眼窩前頭前野は扁桃体の活性を制御していると考えられています。最近、「行動抑制」という概念で有名なJerome Kagan教授らの論文が公刊されました。その主旨は「4か月齢で抑制気質があった人は抑制気質がなかった人と比較して、18歳になった時点での眼窩前頭前野が薄く、腹内側前頭前野が厚い」というものです。どうやら腹内側前頭前野は新奇な刺激に対する防衛反応に関与しているようです。私は眼窩前頭前野の役割は知っていたけれど、腹内側前頭前野の役割は知りませんでした。迂闊です。
論文では難しいという方のために、易しくその内容を解説してくれているページにリンクを張っておきます。ただし、英語です。

http://pn.psychiatryonline.org/content/45/5/15.2.full

脳に関する専門用語が難しいという方のために、↓にメモ書きしておきます。


    眼窩前頭前野 : 英語はorbital prefontal cortex または
                    orbitofrontal cortex
                その名の通り、眼球の近辺にある前頭前野領域[/list:u]



    腹内側前頭前野 : 英語はventromedial prefrontal cortex
                 腹側(ventral)は頭のてっぺんから観て、下の方。
                 内側(medial)は鼻を軸にして脳を左右に分断した時、鼻に近い方。
                 したがって、腹内側前頭前野は前頭前野の中でも、鼻に近く、下の方にある領域。
    [/list:u]分かりにくい説明ですみません 。それと、文字の位置が上手く調節できませんでした:oops:
    それから、私はJerome Kagan教授のことは富重さんのブログを拝見するまで知りませんでした。あらためて、様々な情報を提供してくださる富重さんに感謝します。



題名: 返答隊
投稿日時: 2010-12-28 10:06:47
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 116
おお、こんなぼやきにお返事が来るとは思っていませんでした。

※この間は言い忘れましたが、質問者の方の尊厳を落とすつもりは毛頭ありませんし、お子さんが良い方向に進まれることをお祈りしています。緘黙そのものは比較的軽いとの事だったので良かったです。


>ただ、この電話相談だけでこの回答者が「場面緘黙症=自閉症」と一般化して考えているかは分かりません。(中略)ただし、その場合でも、年少の頃の緘黙症を長期間引きずる可能性を見過ごしているのでは?と思ってしまいます。

たしかに断定はできません。私は、発言のひとつひとつは間違っていないかもしれないけれど、話の運び方が「んん?」と思ってしまいました。PDDの説明の方を優先した感があるので・・・。

PDDの鑑別は治療上極めて重要なので精神科医なら気になる所だろうと思います。プロでもPDDの線引きは難しいそうです。それを踏まえて「こういう生き方もありますよ」と教えてくれようとしたのなら分かるんです。
※発達障害といっても福祉・教育的にみると定義が違うこともありますし。


ただ、「大丈夫です、そのうち治りますよ」は緘黙に対する専門家の決まり文句なので、社交不安に触れずにそれを言って大丈夫なのかと思ってしまいます。質問者の言葉にあった「滑り台で固まる」というのは、抑制的な気質の何よりの特性だろうと思うので、それで「緘黙かも」と来たら、「お子さんは不安を抱きやすい」という事をまず教えてあげる必要があるように思ったのですが。

とはいえ、回答時間もあまりないからまとめるのも大変ですけれど。
どちらにしても、親・教師向けの専門書は本屋の特別支援コーナーに出てきていますが、医者向けに最新の情報を提供する書籍というのは恐らく一切出回っていません。そこが理解への壁です・・・。

アメリカでの論文数も、自閉症8838に対し、緘黙857とケタひとつ少ないです。
(こちらより引用)
http://www.selectivemutism.org/resources/library/Speech%20and%20Language%20Issues/Using%20a%20Counseling%20Approach%20with%20SM.pdf

* **+++***+++***+++***+++***

>現に、自閉症の人の扁桃体は活動性が低く、緘黙症の人の扁桃体は活動性が高い考えられています。

自閉症者って「意味記憶」優位で、子供の九九の丸暗記みたいに機械的な記憶力が突出していますよね。体験さえも『〇年の〇月〇日』とデータの如く覚えていくのがビックリなのですが。子供の記憶力をさらに誇張した状態という感じがします。

ふと思ったのですが(素人考えなので一笑に付して頂いて構いません);扁桃体というのは「情動」を司っているのですよね。扁桃体が活性化すると海馬のLTP(long-term potentiation)が大きくなると本で読んだことがあります。つまり、情動が絡むと記憶力が増強され、普段だったら記憶しない些細なことでも記憶されやすくなる、と。

抑制的な気質の人は、普通の人ならケロッと忘れてしまうような些細な恐怖体験を、情動の過剰さによってエピソード記憶として「きっちり鮮明に記憶してしまう(逆に言えばよく思い出せる)」、その結果として普通の人より「トラウマ体験」として認識する確立が高くなり、防衛的な条件反応に至りやすい、という仮説は可能でしょうか?
「これは重要な記憶だ! 次は気をつけなきゃ」という反応が若干でやすいのかも。

一方、恐怖の克服の学習についての情報を見つけたので、もしご存じない可能性も考慮して載せておきます。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=92495307&expand



ただ、ひとつ疑問。
仮に、上記のように、自閉症と緘黙症の扁桃体を比べた時には活動性が逆だったとしても、
自閉症にも抑制的なタイプがいて、「緘黙との合併」もあります。と考えた時、この理論だけでは矛盾を感じます。この仮説を機械的に当てはめてしまうと、合併例では、相反した両者を抱え込んでいることになると思うからです。

① 緘黙症 ②自閉症 ③緘黙と自閉症 

この3つには、脳にどのような違いがあるのでしょう?
マーキュリー2世さんのおっしゃるように、眼窩前頭前野などが関係していると見ればいいのでしょうか?
この辺、比較研究できないのでしょうか??

③のタイプでは、頭の中で

「興味対象への意識の狭窄」と
「他者へ意識を向けることにより生じる自意識過剰」

という相反する思考回路が働いているような気がして、思考が特殊で複雑な構造になっていると感じます。

* ****


それと思うのが、見る限りでは、アスペルガーなどの、比較的IQはそこそこある人が場面緘黙の“症状”になる比率が高い気がするのですが(完全な独断です)、どの程度の知的レベルまで場面緘黙の範疇に収まれるのかが不明です。IQが低くなるほど本能的情動が優先され、「他者を意識することで生じる自意識」というのは発生しにくいのではと推測しているのですが、どうなのか。。。

あまりにも知的障害が重たいなら別の意味での緘黙になってしまいますし。

ただ、PDD・精神停滞・自閉症があった場合、そちらに組み込まれてしまうので実態がよく分かりません・・・。緘黙の研究者がいない以上、自閉症として研究されるのが一般的だろうと思います。

もしかしたら自閉症や精神停滞が重いほど、こちらよりも、自閉症などの発達障害の団体に集まりやすいのではないかとも思います。もしそうであるならば、まだ埋もれている緘黙児はいるのかもしれませんね。

ここで支援を模索している緘黙関係者は緘黙の「症状」があるということで集まってはいますが、実際には診断上も法律上も分断されてしまっているのでいまいち全体像がぼやけている気もしないではありません。


* *******

なんだかいっぱい書いてしまいました~。


題名: ASDの不安とSMの不安
投稿日時: 2010-12-30 00:38:01
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 116
ASD(自閉症スペクトラム)の人は「想像力」が弱いとのこと。
想像力が弱い→先の見通しが苦手→(わからないこと)新奇なことに対する不安が強い

これはそのまま緘黙症のリスクになりそうです。
冗談が通じないというのもトラウマ体験を増やす要因になりそうです。
強気なタイプなら反発という形で現れるのでしょうが、
抑制的なタイプの場合は、萎縮という形で現れるのでしょうね。


題名: 自閉症と脳
投稿日時: 2010-12-31 11:51:14
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 18
http://linceuftm.com/uploads/The_orbitofrontal%E2%80%93amygdala_circuit_and_self-regulation.pdfにリンクしている論文とこの論文に引用されている文献によれば、

①扁桃体は生誕時から成熟しているのに対し、眼窩前頭前野は遅れて成熟 し始める。

②早期の扁桃体や海馬の損傷は発達途上にある他の脳部位に2次的な影響をもたらす可能性がある。発達途上にある脳部位には、実行機能に関与する背外側前頭前野が含まれる。

ここからは、個人的想像です。

①→環境が眼窩前頭前野の発達に与える影響は大きい?つまり、環境により扁桃体の活性を抑える能力に差が出るかもしれない。

②→1.幼い時から扁桃体に異常があると、高次認知機能(ex.作業記憶等)に関わる背外側前頭前野にも影響する?ちなみに扁桃体の損傷は自閉症に似た障害を引き起こすことが知られています。

②→2.扁桃体の異常が発現する時期はその後の知能を左右する?これはもしかしたら自閉症スペクトラムでのIQの高低と関係があるのかもしれない。

自閉症スペクトラムで測定するIQが背外側前頭前野等に依存しているかどうか分からないので、②→2.に関しては想像を超えた妄想にすぎません。

今日は大晦日ですね。今日の夕飯は蕎麦かな?
来年も(こそは?)良いお年を!!


題名: よいお年を!
投稿日時: 2010-12-31 18:23:19
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登録日時:
投稿記事数:
今年もたくさんの投稿をいただきました。
皆様の投稿は、全て一通り目を通していますよ。

それでは、よいお年を! :D


題名: みなさん、ありがとうございます
投稿日時: 2011-01-22 22:52:02
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 116
なんだかんだ言いましたが、順序だてて説明するのは難しいと感じる今日この頃です。

みるもさん、ひとりごとスレなのに長い文書いていてすみません~。:?
それと、富重さん、いつも丁寧な管理をありがとうございます。
荒らしが一切ないので、みなさん安心してブログのようにお使いになっています。 :D

論文などの情報もありがとうございます。
ひょっとしたら、専門家にとっても役立つ情報拠点になっているかもしれませんね。

ふと、
「富重さん、プロの緘黙研究者になってくれたらなあ・・・」
・・・なんて、よく思うのですが。。。
これだけ情熱をみなぎらせて情報収集できる方も貴重ですし。。。
英語力をいっそう磨いて、
直接シポンブラムさんと連携しながら日本の緘黙研究のパイオニアになってくれたら日本のみなさん助かるだろうなあ・・・
なんて無責任に夢想してます・・・
富重さん頭よさそうですし。

マーキュリー2世さんへ

仮説、むずかしいです~ (><)
ご紹介いただいた論文、文字だらけで「めんどくさい!」て思って読んでいなくてすみません。気が向いたら印刷して読もうと思います。
なんか、むずかしそうで・・・

今後も抑制的気質やその他自閉症などに関しての、
何か新しい観点での資料があったら見てみたいです。
意外と掘り出し物があるかもしれませんね。

PS 潜在意識って脳科学的にはどういうものなんですか?
神経の働きとどう関係しているのですか? 
それと、神経が働かないと心も働かない気がするのですがその辺知りたいです。神経と心というのはある程度は切り離せない物のような気もするのだけれど。医学的に言う「神経性」と「心因性」というのは100%完全に切り離せるものなのでしょうか??どんな病気も複合的な要因が重なり合っているような気がします。 


題名: 潜在意識と脳
投稿日時: 2011-01-27 10:57:59
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 18
潜在意識をどのように定義し、科学的に定量化するのか、おそらく現段階でも、議論の途上でしょう。この辺りのことは詳しくないのでよく分からないのですが…


潜在意識を操作するとしたら、人が探知できないような非常に短い時間、刺激を呈示する方法が最もよく用いられる方法かな?←自問自答。いわゆるサブリミナル効果を利用するのでしょう。つまり、閾値以下のサブリミナルな刺激と閾値以上のスプラリミナルな刺激が脳の活動などに与える影響を調べるというのがスタンダートな方法だろうと思います。例えば、この論文(pubmedへのリンク)では、neutral face(s?)とfearful face(s?)を刺激材料として、サブリミナルな呈示法とスプラリミナルな呈示法を比較しています。その結果、①扁桃体の活性は、サブリミナルな呈示法とスプラリミナルな呈示法の両方でfearの知覚に反応して高まること、②サブリミナルなfearに対する反応は右の扁桃体の方が相対的に大きいが、スプラリミナルなfearに対しては左の反応の方が強いことなどが示されています。


この論文が興味深いのは、意識が必要でないfearの知覚に扁桃体が重要なのに対し、意識的なfearの知覚には内側前頭前野などの皮質領域も関わっていることを示唆したことにあります。いや、要約の一番最後のThe findings suggest that~に書かれていました。

その他、社会不安な人は、閾値以下のthreat facesにneutral facesよりも注意を向ける傾向がある可能性を指摘した研究(pubmedへのリンク)もあるので、サブリミナル効果(潜在意識を反映?)が不安障害に何らかの形で関与しているのではないかと思われます。


題名: 遺伝と環境の相互作用と障害
投稿日時: 2011-01-27 12:21:22
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 18
短い5-HTT(セロトニントランスポーター)遺伝子とソーシャルサポートの少なさが合わさった時に、行動抑制に対するリスクが増加すると主張する論文(pubmedへのリンク)があります。個人的に興味深かったので、ご紹介しておきます。抑制気質は不安障害に対するリスクなので、もしかしたら環境(ソーシャルサポート)が不安障害に影響するのかもしれません。

それにしても、”behavioral inhibition"で検索すると別の意味での”behavioral inhibition”がヒットすることがありますね。慣れていないものに対する”behavioral inhibition"じゃなくて、ADHDとの関連での”behavioral inhibition"がヒットしたり…。検索条件に”-ADHD"を付けないと、上手く結果が出てきません :cry:

虹橋さん、もし自閉症と脳の関係に興味がおありでしたら、紡錘状回顔領域(Fusiform Face Area:FFA)もチェックしておいた方がいいかもしれませんよ。FFAについては、恐縮ですが私が以前ブログで書いた「緘黙症が脳に与える影響ー自閉症と紡錘状回顔領域の関係から
」という記事を参照してもらえたらと思います。ただ、この記事の「自閉症のFFAは先天的にではなく、後天的に障害される」という内容は鵜呑みにしないでください。記事の最後に書いている参考文献にはそのようなことが書かれていました。しかし、自閉症と脳の関係にはまだまだよく分からないことが多いので、本当にFFAが先天的に障害されていないのか分からないからです。


では、この辺で。


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