児童心理治療施設

概説

児童福祉法に基づき、 家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間、入所させ、または保護者の下から通わせて、 社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、 あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設。

緘黙児の入所は少ないかもしれません。

昭和36年(1961年)の児童福祉法改正により設置。平成28年(2016年)の児童福祉法改正により「情緒障害児短期治療施設」から名称変更。

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児童心理治療施設の実際

児童心理治療施設は児童福祉法に見られる用語ですが、 各施設は「○○○学園」とか「○○○こどもの家」などと名乗っています。

児童心理治療施設ネットワークのウェブサイトを調べたところ、 平成30年(2018年)現在で、全国で50箇所の児童心理治療施設があります。 平成25年(2013年)現在では38箇所で、施設数が近年増えていることが分かります。 各施設に入所者が23~56名程度、通所者が3~15程度のようです。

下記の厚生労働省のページによると、 平成23年(2011年)の数字では、情緒障害児短期治療施設の入所児は 「被虐待児が75%を占め、広汎性発達障害の子どもが26%、軽度・中度の知的な課題を有する子どもが12.8%、 児童精神科を受診している子どもが40%、薬物治療を行っている子どもが35%」としていました。 緘黙児については、特に言及がなく、その割合は少なかったものとみられます。

※ 社会的養護の施設等について

平成28年(2016年)の数字では、「何らかの障害等がある子どもが72.9%を占めています」としています。

※ 社会的養護の施設等について

平成28年(2016年)の児童福祉法改正について

名称変更については、情緒障害児短期治療施設協議会が、情緒障害という用語は不必要な誤解や偏見につながるとして、 名称を「児童心理治療施設」と改めるよう国に要望した経緯があります。

名称変更は児童福祉法の改正によるものですが、この改正では施設の定義も変更されています。

変更前

情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を、短期間、入所させ、又は保護者の下から通わせて、その情緒障害を治し、 あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。(第四十三条の五)

変更後

児童心理治療施設は、家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となつた児童を、 短期間、入所させ、又は保護者の下から通わせて、 社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、 あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。(第四十三条の二)

リンク

◇ 児童心理治療施設ネットワーク

以下2件は、PDF です。厚労省ホームページへのリンク。社会的養護に関する記述が目立ちます。

◇ 情緒障害児短期治療施設運営指針

◇ 情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)運営ハンドブック