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題名: 修学旅行が自信に、そして息子の成長
投稿日時: 2007-01-05 00:54:40
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のひめさん、私の長話を読んでいただきありがとうございます。皆さんが励ましてくださるので、飽きっぽい私も書き続けていくことができます。

◆ 中学3年 4月の続き

《修学旅行を無事終え、新たな自信を得る》

息子が修学旅行から帰ってきました。「行ってよかった?」と聞くと、「うん!」と答えました。
息子は東京でのことを興奮して話し続けました。

何が一番楽しかったかというと、「電車の中でみんなとやったトランプやウノ」ということで、ウノの際には、息子だけは最後の1枚になったとき、「ウノ!」と言わなくていいルールだったそうです。

1日目、夜の選択コースに出かけずホテル待機をしていた息子に同室のS君がおみやげを買ってきてくれたこと、2日目、ディズニーランドでK君やT君が休憩室までやさしく連れて行ってくれたこと、最終日に、皆と別行動で教頭先生や担任の先生やS君といっしょに食べたラーメンがおいしかったこと、教頭先生がおもしろかったこと・・・息子はうれしそうに話していました。

また、食事のときに、これまでほとんど接触のなかった先生にも指差しで食べたいものを伝えられたこと、友達のいるところでもほしいものを買えたことで、自信を得たようです。先生たちや友達にいろいろな場面で助けてもらいながら、人とのつながりを感じることができ、たくさんの思い出を持ち帰ることができました。

修学旅行後、息子の行動がしだいに大胆になっていきました。「具合が悪いから部活を休みます。」など、それまでは、家で書いて生活記録表にはさみ、担任の先生を通して連絡してもらうようにしていましたが、伝えたいことを学校で自分で書いて部長に渡したりできるようになりました。職員室に一人で提出物を出しにいったりもするようになりました。

《息子に会話練習の提案をする》

頃合を見計らって、次のようなことを話題にしてみました。

・あれほどいやだ、絶対に楽しめない、と思っていた修学旅行に、勇気を出して行ってみたら楽しめた
・できないと思っていることでも、思い切ってチャレンジしたらきっとできるようになる
・修学旅行でこんなに頑張れたのだから、自分の苦手なことにもチャレンジしてみよう
・高校入試のとき、面接試験があるから、今から少しずつ練習しよう

息子は、1年生の頃は「自分は高校になんて行けない」と言っていましたが、2年生になって比較的安定した学校生活が送れるようになったころから、皆と同じように高校に進学することを当たり前のように話していました。だから、「面接試験のために会話練習をする」という目標は、息子の気持ちを動かしたようです。最後はごほうび作戦で、久しぶりに高額なものを提示し、その気にさせました。

《先生に会話練習のお願いをする》

インターネットの場面緘黙症に関する記事をいくつかプリントアウトし、担任の先生にお会いして話をしました。

・修学旅行に連れて行っていただいたことですごく自信になり、苦手なことにチャレンジしようという気持ちになれたこと
・インターネットで調べているうちに、場面緘黙症は放っておいてはいけないことがわかったこと
・海外では研究が進み、簡単なことから段階を踏んで練習をすることで成果が上がっていること
・これまでも、何度か個室で音読などの個別指導をしていただいてきたが、年に2~3回では回数が足りず、ステップアップが難しいこと
・面接試験の練習と言う口実で、1回5分程度でいいので、できるだけ頻繁に指導をお願いしたいこと

先生は息子がやる気になっていることを喜んでくださって、OKしてくださいました。
「修学旅行をキャンセルしたいという電話をしたときに、先生に引き止めていただかなかったら、今の息子はありませんでした。本当に連れて行っていただいてよかった・・・ありがとうございました。」と私が言うと、先生は
「いえいえ、修学旅行のこともあるかもしれませんが、○君、成長しましたよね~!1年生のときのことを思えば、本当に成長したと思いますよ~。私も嬉しいです。」と言ってくださいました。


題名: 会話練習開始
投稿日時: 2007-01-06 21:34:32
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
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◆ 中学3年 5月11日(木)  

《国語の先生と個室で会話練習+音読》  会話(原稿あり)=失敗

個室で国語の音読テストをすることになっていました。まずは国語の先生に、音読テストに会話を組み合わせる形でお願いすることにしました。

・即興で答えられるほど余裕はないと思われたので、私のほうで原稿を作り、事前に質問内容を息子に教えておくことにしました。
・これまで中学校では、音読・暗唱以外の発声は経験がないので、はい、いいえ、または一言で答えられる内容のものを考えました。
・朝の登校時にプレッシャーがかからないように、息子にはあえて、いつやると予告しないでおいていただきました。
顔を見ないように横並びで座っていただきました。

原稿 : いくつか質問するから答えてね。
Q:音読の練習してきた?     A:はい/いいえ
Q:何回くらい?     A:   回
国語教科書の音読
Q:また今度聞かせてね?     A:はい/いいえ


《取り組みの結果を確認し、次のチャレンジの相談をする》

帰宅した息子は、「できなかったよ」とがっかりしていました。音読テストは聴いていただけましたが、目標にしていた会話での発声はできませんでした。先生がさりげない感じで質問をしたので、逆に戸惑いがあり、いつものようにうなずきと指で答えたようです。

「ぼくが声を出して答えるって先生は思ってないよ。」と息子は言い張りました。「先生にはちゃんと話してある」といくら言って聞かせても安心できないようなので、声を出して答えるよう、先生の方からはっきりと指示を出してもらうことにしました。また、「国語の先生と練習するのは緊張する」とのことだったので、担任の先生にお願いすることにしました。


◆ 5月12日(金)  

《担任の先生と個室で会話練習 1回目》  原稿あり=成功

息子はその週のうちに目標をクリアしたいと思っていたので、音読テストの次の日、担任の先生に時間をとっていただけるようお願いしました。

・自然な会話というよりは、今の段階では「会話の練習」ということで意識的に場面を設定したほうが取り組みやすそうだということを先生に伝えました。
・息子にも原稿を見せて内容を確認させ、先生にお渡ししました。
・顔を見ないよう横並びで座り、調子が出ないときは短時間で切り上げていただけるようにお願いしました。

原稿 : この先、面接の練習につなげていけるように、少しずつ会話の練習をしましょう。
もし答えられそうだったら、声を出して答えてみてね。」 
    (息子が「このごろよく頭をたたかれる、頭が痛い」と言っていたので・・・)
Q:まだ頭たたく人いる?     A:はい/いいえ
  はいの場合・・・誰?
Q:今日も頭痛いの?     A:はい/いいえ
Q:明日の大会は出られそう?     A:はい/いいえ
じゃ、今日の練習はおしまい。またこの次も練習しようね。
(*声が出せない場合 : 「調子が出ないみたいだから、今日はやめとく?じゃ、また今度ね。」)


《結果の確認と次のチャレンジの相談》

学校から帰った息子の顔を見れば、結果がどうだったのかすぐわかりました。声を出して質問に答えることに成功したとのことでした。一緒に喜び合い、約束していたごほうびをその日のうちに買いに出かけました。

原稿つきでもっと練習したほうがいいと思ったのですが、息子が「原稿なしでもできる」と言うので、次回、会話の内容は先生にお任せして、即興で答えることにチャレンジすることになりました。


題名: 修学旅行
投稿日時: 2007-01-07 16:56:18
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修学旅行はみちさんの息子さんにとって本当に大きな行事でした。
もうこれは、復習タイムとか言ってhow toにまとめられないですね。
how toものは表面で行われた行動を列挙することになるのですが、
現実というのは、目に見える行動レベルだけではなく、
本当は何層にもなっていて、
行動よりも、もう少し下の層がどう動いたかで、
子どもの行動が決まってくるのだと思います。

息子さんはみちさんに自分のその時の不安を話すことができるので、
事態がわかりやすいです。
これは、不安を話せる親子関係をこれまで築いてこられたということと、
率直な気持ちの表現をする息子さんの性格、
母子関係という点ではみちさんも言われているように年齢にしては幼いというのもあるかもしれません。

親と子どもと先生が、それぞれ、自分でしっかり考えて「自分の選択」を行っています。
修学旅行の成功について、私はここに注目したいです。

ご両親は「行かない」選択をされました。それも「修学旅行には行かないで、家族旅行にでも行こう!」という素敵な選択です。ご両親が「なんとしてでも他の子と同じように行かしてやりたい」気持ちで引っ張っていたら、子どもはそれに惑わされて、自分の選択ができなかったかもしれません。修学旅行に行くのは自分ではなく子どもなのに、自分の気持ちを分離できずに親が熱くなってしまうことが多いです。
一方同じ「行かない」選択でも、投げやりになって「もう行かなくても大したことないやん」という選択とは違いますよね。みちさんは「何より、親としても楽をしたくなった、というのが正直なところです。」なんておっしゃっていますが「行けたらいいな」「行きたいと言ったら協力してやりたい」という何層もの気持ちの上に、この気持ちがありますよね。子どもの特徴やその時の状態を受け入れているからこそできる選択と思います。

息子さんは出発1週間前に「絶対に楽しめないと思うから行かない」 という結論を出しました。 この時点で自分で結論を出せたことがあっぱれです。そして、子どもの気持ちをそのまま学校に言いに行ったみちさんもあっぱれです。彼が旅行で考えられる不安な点を整理し切れていないことが、自分でなんとなくわかってたということですよね。そして実際後から考えると、この時点では先生や親の現実的な調整は甘く、彼のこの選択はとても当を得たものだったんじゃないでしょうか。彼がこの「選択」をできたからこそ、周りのサポート力が引き出され、修学旅行を楽しめるという結果を得ることができたのだと思います。

先生は「修学旅行には学年全員参加するので、なんとか連れていきたい」と言ってくださります。修学旅行について「クラス全員で」「学年全員で」と語気を強める先生は多いです。(現実を見ずにその時の自分の熱い思いばかりを出して、子どもとの間の溝を深めてしまう先生もおられますし、熱い思いに子どもが動かされる場合もありますが)でもこの先生はそういうかけ声だけではなく、現実的な調整をしてくださる先生でした。そういう先生という信頼があったから、息子さんの気持ちも動いたのでしょう。1週間前にキャンセルの意志を聞かれて、先生はよりいっそう彼の思いに応えたいと思われたでしょう。次の日の「担任の先生は少し自信がなくなってきた様子」は、この先生が本気で成功させたいと思っていることがわかります。修学旅行は教師が生徒の命を預かる行事、先生もいっぱいいっぱいのはずです。先生は息子さんの不安を共有されたのでしょう。本当にいい先生ですよね。

 特別支援教育が入る前だったら、児相からの指導がなかったら、学校側もこれだけ環境整備するのは難しかったかもしれません。みちさんと息子さんが初めからこれだけの環境調整を学校にお願いしていっていたら、学校側はこんなふうに動けただろうか・・・とも思います。やっぱり成功は人と人で作り上げていくものだなと思いました。


題名: けいこさんへ
投稿日時: 2007-01-08 00:06:29
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 255
けいこさん、ありがとうございます。

「みんなと一緒に修学旅行に行く」ということが、これほど息子の自信につながるとは思っていませんでした。私自身も修学旅行を楽しめた記憶がなかったので、息子もきっと楽しめないだろうという思い込みもありました。あのとき、「行けるものなら行ってほしい」と思う一方で、「いやがっているのに無理して行かせて、つらい思い出になってしまうのなら意味はない」という気持ちの方が大きかったんです。

また、「行動予定の調整をしていただける」という発想も全くありませんでした。担任の先生にさまざまな配慮の提案をしていただけなかったら、「連れて行きたい」と強く言っていただけなかったら、「なんとかしたい」という気持ちにはなれなかったと思います。

「息子が修学旅行を楽しめた」ということで、私も「息子にはどうにかやっていける力がある」という希望がもてるようになりました。


題名: 授業中の音読チャレンジの提案
投稿日時: 2007-01-08 12:54:53
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 255
◆ 中学3年 5月15日(月)  

《担任の先生と個室で会話練習 2回目》  原稿なし=成功

・先生には、できるだけ一言で答えられる質問を考えていただけるようお願いしました。
・漠然とした内容でなく、具体的で答えやすい質問をお願いしました。

会話の内容 : (中間テストが近づいていました)
     Q:まだ頭たたく子がいる?
     Q:テスト勉強はどの教科が一番進んでいる?
     Q:どの教科が一番好き?
     Q:一番苦手な教科は? など


《結果の確認と次のチャレンジの相談》

取り組みの結果を聞いてみると、どう答えるべきか迷って無言のままだったのが一問あったようですが、比較的スムーズに発声できたようです。

息子は、小学3年の8月に1回目の転校をして緘黙・緘動状態になり、1年ほどで授業での発言はできるようになりました。小学4年の10月に2回目の転校をして、再び緘黙・緘動状態になりましたが、先生の指導により5年生の途中から授業での音読などができるようになり、6年のときには、友達との日常会話での発声は全くできませんでしたが、原稿があれば学年発表会でもマイクを持ってしっかりと発表できていました。

「中学校では授業での発表は絶対にやらない。」と、息子はちょっと前まで頑固に言い張っていました。一方で「高校では授業での特別扱いはいやだから、高校に行ったらがんばる」と言っていました。学校関係者以外となら話せるので、「知っている人の少ない高校に行けば話せる」と本人は思っているようでしたが、今までの経験からも、環境の変化に弱い息子の場合、高校進学によって後退する可能性の方が高いと私は思っていました。後退したときにも、「中学校ではここまでできた」というものがあれば、それを目標に頑張れるような気がしました。

個室での会話成功を受けて、息子と次のチャレンジについて話し合いました。「担任の先生も忙しいし、会話のネタを考えるのも大変そうなので、次は教室での音読にチャレンジしてみない?小学校ではできていたのだし・・・」と提案してみました。「いくら自分でそうしたいと思っていても、練習していないとできないこともあるんだよ。苦手なことを全然練習しないでできる人はあまりいないでしょう。高校ではできるようになりたいと思ってるんなら、今から少しずつ練習しようよ。」という話をしたら、息子が授業での発声チャレンジの話にのってきました。先生との会話練習に成功したことで自信がついたのだと思います。

個室で1対1で簡単な質問に答えられるようになっただけで、すぐに授業中の発声へとつなげようという試みには無理があるとなんとなく感じてはいました。しかし、これ以上担任の先生に負担をかけられないという遠慮もあり、また他の先生たちや受験勉強で忙しい生徒たちを巻き込んだ形での取り組みをお願いする度胸が、そのときの私にはありませんでした。

また、その時点では、個室で少しずつ人数を増やしていく場合の「会話練習」の内容にいいアイデアが浮かびませんでした。まさか中学生を学校で遊ばせるわけにもいかないし、一言で答えられる、不自然でない質問を考え続けるというのは、実際やってみようとすると簡単ではなく、しかもそれを他の生徒も入れた設定で考えるのはかなり難しいと感じていました。

「会話は無理でも、原稿があれば発声できる。小学校でできていたことだからできるはず。」という思い込みもありました。「ダメモトでやってみてできたらもうけもの、できなければまたもどってやり直せばいい」と考えました。

息子によれば、3年生になって担当になった若い英語の先生は、生徒を指名して答えさせるということがほとんどなく、先生オリジナルの「疑問詞の歌」や「現在完了の歌」など工夫盛りだくさんの楽しい授業をするとのことで、英語の授業には単純な音読の場面設定はない、ということでした。声を出して発音するのは、みんなでいっせいにやるか、隣同士向き合って会話形式でやるかのどちらかで、いつもは息子が声を出さずに文を指差し、隣の子がひとりで自分のパートを練習するという形でやり過ごしているとのことでした。

「生徒と向き合って音読するのは無理」と息子が言い、「息子ひとりのために授業形態を変えてもらうお願いをするのはどうか」と私も思ったので、得意科目の英語の授業でチャレンジさせていただくことはあきらめました。

国語以外の教科では音読の場面はありませんでした。国語の教科担任は2年生のときと同じ先生で、個室で何度か音読を聴いていただいていましたし、授業形態にも慣れていましたので、「国語の授業で音読にチャレンジしよう!」という話になりました。

息子は「できると思う。でも、誰も僕が声を出すって思ってないから、急にやったら絶対に何か言われる。言われたらいやだ。僕がチャレンジする前にみんなに話してくれるんならやってもいいよ。」と言いました。1度も息子の声を聞いたことがない子どもたちが大騒ぎをしないよう、手を打つ必要がありそうでした。教室での音読チャレンジをする前に、担任の先生からクラスに話をしていただくことを息子と約束しました。

担任の先生に、「次は教室での音読チャレンジをしたい。その前に、クラスのみんなに息子のチャレンジについて話していただけないか。もしうまくいかなかったら、もう1度個室で。」というお願いをしましたが、「中間テストが近づいていて、生徒たちにも気持ちの余裕がないので、テストが終わるまで待ってほしい。」とのお話でした。


題名: 事件
投稿日時: 2007-01-09 17:13:23
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
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◆ 中学3年 5月17日(水)  

《メモ回覧事件が起こる》

高校受験の内申点に大きく関わる中間テストを前に、先生たちから生徒に気合いを入れるお話があったようでした。そんな中、びっくりするような出来事が起こりました。

体育館で集会時に、うちの子からクラスの男子にメモが回り、最終的に担任の先生に届いたというのです。そこには卓球部の部長Y君への悪口が書いてありました。「Y、部長失格、超ムカツク・・・ ○○」といった内容だったそうです。先生から電話をいただき、思わず「ひどい・・・」と言ってしまいました。「でも、うちの子がそんなことをするのは、よっぽどのことがあったんだと思います。でなければ、他の子がうちの子の名前を使っていたずらしたかのどちらかだと思います。」と、先生にはお話しました。

帰宅した息子はかなり不機嫌で、「ムカついたから部活にも参加せずに帰ってきた」とのことでした。
何があったのか聞いたところ、「前々から恨みを持っていたから仕返しをしたのだ」ということでした。
休み時間に子供たちの間で進路や受験の話題になり、Y君が息子に向かって、「“ニート”っていったら○○じゃん。」「○○は将来ニートだよな。」と言ったり、「な、ニート!」「ホームレス!」などと呼びかけたりしたそうで、そういうことが5,6回あったのだそうです。今回もそういうことを言われたため、仕返しのため紙に書き、先生に届くようにみんなに回したのだそうです。少し遅れて部活に顔を出したのですが、Y君にまた嫌味を言われ、息子がなぐったりけったりしたため、「なぐることでしか自分を表現できないのかよ」とさらに言われ、家に帰ってきたとのことでした。

「そういうことをしたら、Y君への仕返しよりも、かえってみんなに誤解されて自分の立場が悪くなるでしょう。」という話をしたところ、「だから、もう部活にも出ないし、Y君にひどいことをしたとクラスのみんなが思っているから、学校にも行きたくない。」とのことでした。息子はだいぶ傷ついている様子でしたが、Y君に恥をかかせるようなことをしたことは悪いと感じていたようです。また誰かになにか言われたりされたりしたときは、自分で仕返しをしようとしないで、まず先生に相談することを約束させました。(後になってSCの先生にこの話をすると、「やったことは極端ですが、仕返ししたということは、本人の自信の表れですね。」とのことでした。)

Y君がなにかとつっかかってくるのは、このごろ息子がY君を頼り過ぎて、「部活を休みます。」と書いた紙をたびたび渡したり、用もないのにぽんと肩をたたいたりして、うっとうしくなってきたせいかな・・・と想像してみました。先生によると、「いよいよ受験モードに突入してきて、生徒たちにも気持ちの余裕のないときで、またごたごたがあるかもしれない」とのことでした。息子によくよく話を聞いてみると、「ニート、ホームレス」の話は先生たちが出所だったらしいこともわかりました。先生たちのテスト前の指導で子どもたちにプレッシャーがかかり、それがうちの息子に向かったのかと想像がつきました。

先生には、Y君の気持ちを聞いていただき、なんとかとりなしていただけるようお願いしました。Y君には、「息子の足りないところをいろいろとカバーしてくれて、感謝している」と伝えていただけるようお願いしました。また、「僕がY君に対して、どうしてそういうことをしたのかということを、自分がいないところでクラスのみんなに話してほしい」と息子が言っていたことを伝えました。

先生がY君を呼んで、息子に対して「ニート、ホームレス」と言ったのかどうか確認したところ、「言っていない」とのことだったらしいのですが、「視線が泳いでいたから、あれはやったな・・・」と先生は笑ってました。先生はY君に上手に話してくださったらしく、その後息子は何事もなかったかのように部活に参加するようになり、Y君もそれまでどおり接してくれるようになりました。関わりのあった数人の男子にも誤解のないように話をしてくださったようです。

《場面緘黙症の資料作りをする》

さあこれから頑張って新しいことにチャレンジしようというときに、こういったトラブルが頻発することは避けたいと思いました。場面緘黙のことをクラスのみんなにきちんと話していただく必要を強く感じました。

テスト明けに、息子のことを話題にする時間をとっていただき、声を出すトレーニングを始めたこと、みんなの理解と協力が必要だということを伝えていただくために、準備を始めることにしました。インターネットで調べ、あちこちつなぎ合わせて、情報を自分なりに整理し、症状、発症の原因、きっかけなど、「場面緘黙症」理解のための資料を作りました。


題名: クラスで息子のことを話してもらう
投稿日時: 2007-01-10 20:53:24
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
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◆ 中学3年 6月2日(金)

《個室で英語の音読テスト》

中間テストが終了し、英語の暗唱テストが行われたようです。息子は教室ではできませんでしたので、個室で教科書の音読を聴いていただくことになりました。3年生になってから新しく担当になった先生でしたが、息子にとって相性がいいらしく、全く抵抗なく音読できたようです。

初めて息子の声を聞いた英語の先生は「音読、うまかった!」と感動していたとのことでした。担任の先生からその話を聞いて、息子に伝えると、とても喜んでいました。


◆ 6月5日(月)

《クラスで場面緘黙の話をしていただく》

ネットの情報をつなぎ合わせたものをフロッピーに落として担任の先生にお渡しし、「中学生にどの程度まで話していいのかよくわかりませんが、先生の判断でアレンジしてお話ください。」と言ってお渡ししました。また、「場面緘黙症」という言葉は用いないようお願いしておきました。

先生が道徳の時間の前半を使って息子の話をしてくださいました。本人の希望で、息子は別室待機にさせていただきました。

先生は「障害」など刺激的な言葉をカットし、原因などあまり突っ込んだ内容のものは触れないようにして、「転校によるトラウマによって話したくても話せない状況にある」ということで話をすすめてくださったようです。「とにかく、今、そのトラウマを乗り越えようと頑張っていること、そのためにはクラスメートの力がとても重要だ」ということを伝えてくださって、具体的な活動として、私が作ったプリントの後半部分を、「お母さんからの手紙」ということで読んでくださったようです。以前も書き込みしましたが、後半部分のみ貼り付けてみます。

みんなは、次のことに注意してください。

・視線を向けられると極度に緊張するので、授業の中で、順番が回ってきても、視線を向けたりしない。
・初めて声を出したときの周囲の反応がこわいので、チャレンジしたことがクリアできても、周りと顔を見合わせたり、ざわついたり、ことさら喜んで騒いだり拍手したりしない。
・また、できなくても、励ましたり慰めたりせず、なにごともなかったかのようにそっとしておく。

・「話す練習をしよう。あって言ってみて。」など、話すことを強要しない。
・「あ、○○君がしゃべった」 「もう一度聞かせて。」 などの声かけをしない。
→ これをやってしまうと、またもとの状態に戻ってしまいます。

・「どうしてしゃべらないんだよ。俺を無視しているのか。」「そんなことでしか自分を表現できないのかよ。」など、話さないことを理由に責めたりしない。

・周囲でやってはいけないことをする人を見かけたら、注意しあう。
・他のクラス・他の学年などで、事情を知らずに興味本位で言ってはいけないことを言う生徒を見かけたら、やめるように注意するか、または先生に相談する。」

中学までしゃべれない状況が長引いている子が、それを克服することは本当に難しいのです。うまくいった例は多くはありません。もし、仮に授業中音読をしたり、質問に答えたりすることができるようになったとしても、すぐに普通にしゃべれるようになるかというとそういうわけには行きません。周囲の人は期待をしすぎず、プレッシャーをかけないように、今までどおり接してください。そして、少しでも進歩の兆しが見えたら、心の中でそっと応援してください。うまくいくかどうかは、クラスの中で、いかにリラックスして、課題にチャレンジできるかにかかっています。


話を終えた後の雰囲気は悪くはなかったとのことでした。その後、息子を教室へ連れてきて、何事もなかったかのように運動会の役割決めをしたそうです。


題名: 授業中の発声に失敗
投稿日時: 2007-01-10 23:55:27
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 255
◆ 中学3年 6月の続き

「協力してほしいと話したことで、クラスメートもちょっとその気になっているようなので、できれば早いうちに何らかの設定があった方がよいのでは・・・」と先生にも言っていただき、国語の授業で音読にチャレンジさせていただくことになりました。

《国語の授業中の発声チャレンジ 1回目》  =失敗

・中学校入学以来初めての教室での発声チャレンジになるので、できるだけ簡単な内容で、短いもの、または原稿のあるものをお願いしました。
・アトランダムに当てると心の準備ができないので、いわゆる「列当て」の形で、列ごと、席順ごとに指名していただくことをお願いしました。

「最初はできるだけ簡単なものから初め、少しずつ段階を踏む」ことの必要性を、担任の先生には説明していましたが、国語の教科担任と直接話したわけではないので、どれだけ伝わっていたかはわかりません。原稿のあるものでも、少しでも感情の入るものは抵抗感が強いことが予想されましたが、国語の先生が設定してくださったのは、確か短歌の作品発表会でした。自分の作品を発表する形ではなく、適当に配られた他の誰かの作品を読み上げるというものでした。「まずいぞ・・・一番最初のステップにしては要求が高すぎる」と感じましたが、「授業の流れの中でやるとそんな形になる」ということでした。

「最初からそんなのはいやだ。できそうならやるけど、無理かもしれない。」と息子は言いました。朝登校時にプレッシャーがかかり、一人で家を出られませんでした。予定通りチャレンジはさせていただきましたが、やはりできませんでした。

《授業中の発声チャレンジ 2回目》  =失敗

「次は絶対頑張る」と息子が言うので、「教科書の音読をぜひさせてください」とお願いしました。

小学校の授業と同じように、中学校の国語の授業でも音読をさせる場面はいくらでもあるものと、私は思っていました。ところがよく聞いてみると、「授業の中で単純に教科書の音読をさせるという設定はあまりない」ということでした。それをあえてお願いしたのですが、やはり声が出ませんでした。

《授業中の発声チャレンジ 3回目》  =失敗

3年生になってから、国語の先生に個室での音読は聴いていただいていました。ただその時も、声が出るまで時間がかかり、先生が「がんばろうよ」と励ましてくださり、「さん、はい!」と掛け声をかけてくださってやっとできたということでした。

息子が、「授業のときも、掛け声があったらできるかも・・・」と言うので、先生に声をかけていただけるようお願いしましたが、やはりできませんでした。

《取り組みの見直し》

失敗が3回続きました。指名されてもやらないことが当たり前になり、パターン化してしまうのもまずいと思いました。また、息子が、「国語の先生はいやだ」と言い出しました。できないのに続けさせたことで、国語の先生に対する強い苦手意識ができてしまったようでした。

息子とは「細かいステップを踏まずに、いきなり教室で声を出すのはやっぱり無理だから、もう1度個室で少人数で練習しよう。」と話し合いました。「ダメモトで」と始めたことでしたが、「やっぱりダメかあ~」と親の方ががっくり来ていました。取り組みをとりあえずストップしていただくことにしました。

期末テストが近づいていました。


題名: もう1度、先生と1対1で始める
投稿日時: 2007-01-11 22:33:10
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 255
◆ 中学3年 7月13日(木)

お忙しい担任の先生に申し訳なく思いながらも、期末テスト終了後、また個室での会話練習をお願いしました。

《担任の先生との会話練習 1学期3回目》   個室で

Q:期末テストはどの教科が一番よかったの?
Q:何点だった?
Q:どの教科を一番勉強したの?  など


この日の息子の日記 「教室で音読できるように慣れたいので、これからも面接練習がんばります。明日も時間があればよろしくお願いします。」


◆ 7月14日(金)

《担任の先生との会話練習 1学期4回目》   他学年の生徒が視界に入る場所で

Q:このごろ誰と一緒にいる?                            A:M君とかEくんとか・・・ 
Q:たくさん友達できてよかったね。どんなきっかけで仲良くなったの?    A:○○の授業とかで・・・
Q:趣味は何?                                     A:音楽
Q:どのアーティストが一番好き?            (しばらく考えたあと) A:デフテック (ちょっと小声)
Q:面接練習、毎日やる?                (ちょっと考えて)首を横に振る


息子はうれしそうに帰ってきました。先生との会話を楽しめるようになってきた様子でした。

先生から、面接練習を毎日やるかと聞かれて、とっさに首を横に振ったらしいのですが、帰宅して私に言うには、「週に1回くらい休みがあれば毎日のようにやってもいい」とのことでした。

さっそく先生にそのことを伝えに行きましたが、「成績評価、三者面談の準備等で忙しく、1学期中は難しい」とのことでした。


題名: 場面緘黙症Journalとの出会い
投稿日時: 2007-01-12 22:26:34
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登録日時:2013-10-18 04:45:31
投稿記事数: 255
◆ 中学3年 7月

《夏休みにできること》

「せっかく調子づいてきたところで夏休み、2学期まで何もできることはないか・・・」と思っていたとき、この掲示板のみくさんのトピック 「今(夏休みに)緘黙児の母親ができること」 をみつけました。
http://atbb.jp/smjournal/viewtopic.php?t=25&start=0

3)夏休み中(週末)に幼稚園・学校に通う を読んで、「これだ!」と思いました。

緘黙児の治療は、まず不安を取り除いてから、本当に小さなステップで、少しずつ少しずつ苦手な場面に慣れさせることだと思います。
夏休み中に自由に学校の校庭に出入りできる場合は、週に2度くらい子供が少ない時間帯に連れて行って、一緒に時間を過ごしましょう(自転車の練習でもなんでもいいと思います)。たいていの子は、母親が一緒だと安心するので、普通に会話ができると思います。そうすることで、少しでも学校の敷地内で話す・遊ぶことに慣れさせ自信をつけさせましょう

>学校という場面で最大に怖いのは、自分の教室でクラスメートや先生に囲まれている時という子供が多いのではないでしょうか。もし可能であれば、学校に頼んで誰もいない教室で、まずお母さんと話す練習をすることをお勧めします。先生がいると極度に緊張するので、はじめは母親と2人きりがいいと思います。お母さんと普通に会話ができ、緊張がないようであれば、次に親しい友達を一人誘ってみる、といった風に本当にゆっくりゆっくり慣らしていきます。あせると悪化することもあるので、要注意です。私の場合は、週2回くらい放課後に2人で教室へ行って、その日にあったことを話したりしています。夏休み中も、新しい教室に入れるよう許可を取りました。


そして、富重さんのブログで、けいこさんのコメントをみつけました。

>Helping your child with Selective Mutism では、「人」「場所」「活動」の3つの要素を組み合わせてラダー(はしご・段階)を計画していくのですが、とても安心できる組み合わせから始めて、同じ友達と「活動」を変えて遊び、それが慣れたら「場所」を少しだけ変えていき、ずっとうまくいって学校まで「場所」を移せたら、途中で親なしで、子どもと友達だけにしてやっていくのが、例としてあげられています。そして、それがうまくいったら、今度は「人」を変える段階を組む感じです。3つの要素のうち「人」を変えるのは最後です。複数人数は、もっと最後と思います。

(みくさん、けいこさん、勝手に貼り付けてすみません。)

私は「段階を踏んで少しずつ慣れさせる」ということの意味を漠然ととらえていただけで、具体的内容を理解していませんでした。「活動」→「場所」→「人」の順番!! なるほど!

個室で1対1で成功したあと、いきなり授業中の発声にチャレンジとは、なんて乱暴なやり方だったんでしょう。先生との会話にもっと慣れて、場所に慣れてから、話せる「人」を少しずつ増やしていかなければいけなかったんだと気付きました。うちの子の場合は、大人よりも同年代の子どもの方が苦手なので、順番は逆になります。親→先生→生徒の順でステップを踏んで行けるように、まずは夏休みに、親と一緒に場所に慣れさせることから始めてみようと思いました。


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