フルプレイ動画part4「コンビニで、肉まんを買う」

動画(6分40秒)

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肉まんの取り組みについて

取り組みに当たって、ぶにゅう先生が「注文は『肉まんひとつ』の一言で十分だ」と助言していますが、これは一つのポイントです。 同じ発話でも、単語や、決まった言葉を短く声に出すだけであれば、難易度はやや低くなります。

ただ、ぴちぴちに肉まんを買わせる目的でみんなでぞろぞろコンビニに行って、ぴちぴちにプレッシャーを与えているようにも思います。 このあたりの表現を、もう少し工夫できなかっただろうかと作者として思います。 そのプレッシャーを和らげようと、みかさがぴちぴちにさりげなく声を掛けていますが、これはそのあたりを意識して後から付け加えた台詞です。

それにしても、ゲーム内で断ってはいますが、このゲームのステップの踏み方はちょっと大きいですね……。 コンビニの取り組み一つとっても、たくさんの細かいステップを踏むことができます。 このことについては、はやしみこさんのウェブマンガ「話すことがむずかしいあなたへ」(6ページ)に詳しいです。

肉まんの取り組みの着想は、次の二つから得ました。 一つは、緘黙児にアイスクリームを買わせる海外の取り組みの話を読んだ覚えがあったことです。 アイスを買うことができれば、買ったアイスそのものがご褒美効果を持つとのことでした。 もう一つは、これまた参考文献として挙げている 『どうして声が出ないの?』 からです。 母親と一緒にお店で買い物をする取り組みが載っています。

なお、このゲームで肉まんの取り組みを発表したのと同じ時期に、「かんもくの声」さんが、コンビニで肉まんを買おうと呼びかけられています。 偶然が重なったのかもしれません。

「ぴちぴちは、確か肉まんが好きだったわね!」(0分11秒頃~)

お母さん、ぴちぴちが肉まんが好きということを大声で言っていますが、いいのでしょうか。 ぴちぴち、かなり恥ずかしがってるのですが……。

はっきりとは分からないのですが、緘黙児の中には、家以外の人に、自分の内面や嗜好を知られることに強い抵抗がある人もいるのではないかと思います。 緘黙については未診断ですが、私もそうでした。

肉まんを買えたら、近所の人と話せるようになる!?(5分33秒頃~)

このゲームでは、コンビニで肉まんを買えたら、 これまで話せなかった近所の人とも話せるようになります。 こういう現象を専門用語で「般化」と呼ぶそうなのですが、果たしてこうしたことが現実に起こりうるかどうかは、ちょっと自信が持てません。

あと、緘黙の人は、近所の人とどの程度話せるものなのでしょうか。 緘黙サイトの先輩にあたる俊太さんの「場面緘黙症専用」には、 「緘黙の人へ30の質問」(旧・場面緘黙症の人に30の質問)という質問票があるのですが、 この中に「近所の人とは話せた?」という質問項目があります。 当事者や経験者の回答を見ると、話せたという人から、無理だったという人まで様々です。 ですから、ぴちぴちのように近所でも話せない緘黙児もいるのではないかと私は思います。

このゲームで、緘黙児に最も理解があるのは「友達」(5分57秒頃~)

ぴちぴちの友達のみかさ。 ぴちぴちの母や教師が緘黙に気付くずっと前から、ぴちぴちのことを理解しています。 では、みかさは「場面緘黙症」を知っていたかというと、おそらく知らなかっただろうと思います。

こういう子、私が学校で話せなかった頃に実際にいました。 それも、一人や二人ではありませんでした。 学年が少し上になると、緘黙について説明を受けなくても、なんとなく分かる子もいるんでしょうね。 そして、このように理解があって親しく接してくれる同級生の存在が、私にとっては一番ありがたかったものです。

みかさは、同じ子どもとして、ぴちぴちのことをより本人に近い目線で見ています。 それに、母とは違って、学校場面でのぴちぴちをよく見ています。 ぴちぴちにとっては、最大の理解者です。

みかさのような同級生に緘黙児が出会えるかどうかは、運によるところが大きいだろうと思います。 緘黙児に友達ができたからといって、必ずしもその子が緘黙に理解があるとは限りません。 では、教師が児童生徒に緘黙への理解を訴えれば、同級生をみかさのような理解者に変えられるかというと、どうでしょう。 私はそう簡単にはいかないだろうと思います。

緘黙というと、大人が子どもをどう支援するかという、大人目線の話がどうしても多いです。 私はそれとは違った話が作りたくて、ぴちぴちの最大の理解者をみかさにしました。