フルプレイ動画part3「公園で、シャボン玉遊び」

動画(16分8秒)

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シャボン玉遊びについて

参考文献に挙げたアメリカの緘黙の本 Selective Mutism では、息を吹く遊びとして 綿のボールをストローで吹く Cotton Ball Race(海外の遊び?)やシャボン玉、風船遊び、風車、吹き絵、ティッシュ吹き、アプリを使った遊びなどが挙げられていました。 このうちシャボン玉は日本でも馴染みがあるので、ここで採用することにしました。

また、参考文献にはしていませんが、かんもくネットのリーフレット「学校・福祉・医療関係の皆さんへ」では、 シャボン玉は口の筋肉をほぐす遊びとして紹介されています。

発話の前の段階の取り組みとして有効そうなシャボン玉遊び。 ただ、これは少し幼い子向けの遊びのように思います。 小学4年生のぴちぴちには合わないかもしれないということで、「大人のシャボン玉」という妙な形にしてしまいました。 シャボン玉に限らず、緘黙児向けに紹介される遊びは、比較的低年齢向けが多い傾向にあります。 もう少し年齢が上の子向けのよい取り組みはないものだろうかと考えています。

今度は、内なる不安との戦闘?(2分8秒頃~)

part2では、スライムという物理的に実体のある敵との戦闘をしました。 ですが、part3で出てくるモンスターはぴちぴちの不安の現れということで、内なる不安との戦闘になります。 ここらあたりが、なんともいい加減なゲームです。 洋子やみかさまでいっしょに戦闘しているのは、ぴちぴちの不安との闘いをサポートしているということなのかもしれません。

不安をモンスター化したのは、「外在化」(心理学用語)を意識したものです。 このように、不安や緘黙といったものを自分自身から切り離して認識するとよいそうです。

このゲームでは、不安の現れであるモンスターを倒し続けると、経験値がたまってレベルが上がり、不安モンスターを倒しやすくなります。 レベルが上がれば上がるほど不安モンスターを楽に倒せるようになり、遂には敵では無くなってしまいます。 ここに、スモールステップの取り組みをRPGにした狙いがあります。

保護者、担任教師、専門家の三者面談について(14分23秒頃~)

参考文献に挙げた 『場面緘黙Q&A』 では、緘黙児への支援は「保護者」と「学校」と「専門機関」が連携し、 子どもの生活全体をサポートしていくのが最も効果的と指摘されています(117ページ)。 そこで、この三者が面談する場面を作ってみました。 実際にこの三者がお互い顔を合わせるようなことがどれほどあるかは知りませんが、 三者が連絡をとっていることを、分かりやすいかたちで表現してみたくてこうしました。

なお、このゲームでは、支援に関わる学校関係者は担任教師しか登場しません。 特別支援教育コーディネーターなど他の学校関係者を登場させようかとも考えたのですが、 このゲームでは学校が支援に関わる場面が少ないことから、担任教師一人に絞ったのでした。

ピックアップ!敵の名前

アングザイツリー
anxiety(不安)と tree(木)を合わせて作った名前。
回避性コウモリ
緘黙は回避行動という見方があるなど、回避は緘黙を考える上で重要な概念です。 また、このゲームには「回避率」という、敵の攻撃をかわすことに関わるパラメータがあります。 そこで、こうした名前の敵を作りました。 実際、この敵は回避率が少し高く、物理攻撃がやや当たりにくいです。
オバケのミュー太郎
オバケのQ太郎とミュートを合わせて作った名前。 場面緘黙症は、英語で selective mutism(セレクティブ・ミューティズム)と呼びます。

ピックアップ!石碑の文

  • スモールステップの取り組みではご褒美をあげる場合がある。これは「物でつる」とは違うことに注意が必要だ。 ご褒美としては、適切な方法で褒めたり、ポイントをあげたりといったことが行なわれる。
  • このゲームでは、場面緘黙症の主人公が仲間を引き連れて先頭を歩き、あれこれ行動している。 だが、実際の緘黙児は、どちらかと言えば他の人の後ろを静かに着いて行くイメージだ。
  • 稀に、全ての場面で話せない「全緘黙症」の人もいる。 また、緘黙の診断基準からは除外されるが、発達障害を背景として特定場面で緘黙する人は多い。