フルプレイ動画part8「放課後の学校訪問」

動画(18分48秒)

※ 再生後、動画の下段に設定ボタン(歯車)が表示される場合、画質などを調整できます。最高720pの高画質で見ることができます。

コメント

勢いを保つ(0分0秒頃~)

このゲームでは、過去のスモールステップの取り組みを繰り返すこともできます。 動画では省いていますが、繰り返し用のちょっとしたイベントも用意しています。

part7 の石版の説明にもあるように、実際は同じ取り組みを何度か繰り返してから次のステップに進んだ方がよいと書かれた本もあります (参考文献に挙げた The selective mutism resource manual 第2版 がそうです)。 また、ゲーム上の事情で言うと、この RPG がいわゆる「一本道」になるのをできるだけ避け、 ゲームの自由度を少しでも高めたいという狙いもあります。

ただ、このゲームでは、スモールステップ選択画面であまり前のステップに戻ろうとすると、 それは今の主人公には易しすぎるのではと指摘されてしまいます。 参考文献に挙げた 『場面緘黙児への支援』 では、スモールステップの取り組みに当たって勢いを保つことの必要性が指摘されていることなどからです。

取り組みの場所について(3分27秒頃~)

場所は、周りに人がいなくて、教室っぽく見えないところがいいと思う。

このみかさの台詞は、参考文献に挙げた 『場面緘黙Q&A』 の記述が元です。 放課後の取り組みの設定をするに当たって、ある保護者が、スクールカウンセラーに 「教室に似ていないプライバシーが守られた部屋がよい」と助言されたそうです(120ページ)。 結局、パソコンルームを借りることになったのですが、借りる部屋の調整に時間がかかったそうです。

教室に似ていない場所といえば、日本書籍から出ている、 豊田ひさき『学習集団の授業づくり』(1994年) という本を私は思い出します。 学校内で「学校」を意識しないところとして、給食室のパートのおばさんへの用事を緘黙児に頼んで、 発話を促す取り組みが書かれてありました。 これには、なるほどと考えさせられました(緘黙RPGには給食室は出ません)。

学校のダンジョン化について

学校がダンジョンになったのも、例によって、ぴちぴちの不安の現われだろう(たぶん)という設定です。 モンスターが現れるのも、同じ理由です。

ダンジョン後半の展開は、ドラゴンクエストIIの「大灯台」や、ドラゴンクエストIVの「裏切りの洞窟」に似ています。 ゲーム全体が、昔のドラクエの影響を受けています。

それにしても、みかさの「フレイムピラー」は強力。 このフレイムピラーを使っていれば、ゲーム後半は大体何とかなってしまいます。 ゲームバランスが……。

ピックアップ!敵の名前

スライディング・イヌ
「スライディング・イン」と「イヌ」を合わせた名前です。 このあたりになると、敵の名前もネタ切れになって、ぞんざいなネーミングになってきます。
くちなわ
蛇は「くちなわ」とも呼ばれます。緘黙児は「口」で話ができないので、かけてみました。 ただ、本当は「くちなわ」は「朽ちた縄」のことで、「口がついた縄」という意味ではないそうです。
馬面緘黙症
「馬」と「場面緘黙症」を合わせた名前です。

ピックアップ!本の文

  • 前のステップでは糸電話をしたが、実際に校庭にあれだけ人がいたら、日を改めて出直すことも考えた方がよいかもしれない。 誰もいない場所で糸電話をしたが、少し離れた場所には人が多数いたはず。緘黙がある人が安心できる環境とは必ずしも言えないからだ。 なお、緘黙児が話せない人を最初は部屋の外から徐々に中に入れていく支援法がある。以前お話した「スライディング・イン」だ。
  • このゲームでは糸電話や古今東西ゲームを取り入れているが、発話そのものに焦点を当てた取り組みは発話へのプレッシャーを与えるため、注意が必要だ。 特に初期の頃は、発話よりも関連する行動を目標にする。