フルプレイ動画part7「休日の校庭で、糸電話」

動画(26分6秒)

※ 再生後、動画の下段に設定ボタン(歯車)が表示される場合、画質などを調整できます。最高720pの高画質で見ることができます。

コメント

後半の動画について

後半になると、ダンジョン内をさまよいながらモンスターと戦闘する時間が長くなります。 ダンジョンの規模が拡大するためです。 ダンジョンや戦闘に関心のない方、ごめんなさい。

スモールステップの踏み方を専門家抜きで決める?それでいいのか?(0分9秒頃~)

後半に入ると、ぶにゅう先生から、スモールステップの踏み方を親のサポートのもと専門家抜きで自分で決めるよう指示されます。 「作者の意図について」でも書きましたが、ここはこれでいいのかと迷ったところです。

迷いながらも、次のような考えからこうした展開にしました。

  • ぶにゅう先生の台詞にあるように、小学校中学年ぐらいになると自ら主導権を握ってステップを踏む必要があるとされている
  • 参考文献に挙げている Treatment for Children with Selective Mutism では、主導権を徐々に治療専門家から親や教師に移すこととされている
  • 日本では親などが主体となり、スモールステップの取り組みが行なわれている現状がある

ただ、最後まで動画を見ると分かりますが、取り組み終了後、ぶにゅう先生がご褒美をあげに、ぴちぴちの元を訪れています。 ぴちぴちたちの取り組みようを、隠れたところで見守っているのかもしれません。

校庭のダンジョンについて(4分28秒頃~)

緘黙と校庭といえば、『校庭に東風吹いて』です。 緘黙の架空の小学生が登場する小説で、後に、沢口靖子さん主演で映画化しました。 ゲームではせっかく校庭の取り組みにしたので、それをヒントにしたダンジョンとしています。 例えば、「ビー助」というインコが登場しますが、これは『校庭に東風吹いて』の青いインコ 「ピー助」 をもじったものです。

あと、なぜロープをつたって地下に潜るダンジョンにしたのかというと、「糸」電話の取り組みだからです。

強制選択型の質問(forced choice question)(22分43秒頃~)

みかさがぴちぴちにしている質問の仕方は、英語圏ではよく forced choice question として紹介される強制選択型の質問です。 緘黙児が、口頭での返事を比較的しやすい質問方法です。 英語圏でよく指摘される質問の仕方のポイントをまとめると、次の4つかなと思います。

  • 緘黙児が答えるまで5秒待つ
  • 緘黙児の代わりに他の人に答えさせない、緘黙児の心を読み取らない
  • 「はい/いいえ」型の質問は避ける
  • 緘黙児が答えたら答えを繰り返して言う、褒める

詳しくは、次の記事でまとめています。 ⇒緘黙児が口頭で答えやすい質問(症状が軽い場合)  (新しいウィンドウで開く

栞の動画について(23分59秒頃~)

2013年にテレビ番組「ザ・世界仰天ニュース」でイギリスの緘黙児が取り上げられた時、 緘黙児の自宅の様子を母親が撮影し、本人に無許可でたくさんの同級生たちに見せるという実践が描かれたそうです。 あれは日本ではもちろん、おそらくイギリスでもすすめられない方法だろうと私は思います。

「仰天ニュース」の例は極端ですが、放課後の教室で、母親と一緒に大きな声で返事している場面を撮影し、 撮影したものを先生に見てもらうという取り組みは、参考文献に挙げた 『場面緘黙Q&A』 に出てきます(123ページ)。 栞の動画の話は、それを私がアレンジしたものです。 私なら、先生に見てもらうのも怖いと思ったので。

ピックアップ!敵の名前

ミュートレント
mute と treant(トレント)を合わせて作った名前です。 トレントは、RPG ではお馴染みの木のモンスター。
セレクティブセレブ
場面緘黙症は英語で selective mutism(セレクティブ・ミューティズム)と呼びます。 それをもじった名前です。
仰天にゅーす
「仰天ニュース」こと、テレビ番組「ザ!世界仰天ニュース」をもじった名前。 このテレビ番組は、緘黙を取り上げたことがあります。

ピックアップ!石版の文

  • スモールステップを組むときは、その人の「人」「場所」「活動」における安心感レベルに基づいて行なわれる。 このため、スモールステップの組み方は人によって違う。
  • スモールステップの取り組みで次の段階に進むときは「場所」「人」「活動」の三要素のうち複数を同時に移さない方がよい。 たとえば「人」「活動」を固定して「場所」だけ少し難易度の高い段階に進めるなどする。 このゲームのステップはその点急で、スモールステップというよりミドルステップないしラージステップといったところだ。
  • 現実のスモールステップの取り組みでは、一つのステップをクリアしてもすぐに次のステップには進まず、 同じ取り組みを何度か繰り返し、次のステップへのウォーミングアップにするとよいだろう。 だが、このゲームのステップの踏み方については、そこまで深く考えなくてもいいぞ。
  • 身体を動かすと緊張が和らぎ、発話をしやすくなる。 現実のスモールステップの取り組みでは、この点を考慮に入れるとよいだろう。