大人の緘黙の存在

大人の緘黙とは

「場面緘黙症は大人になる頃には治る」とよく言われますが、そうとも限りません。 小児期の緘黙が持続したまま、成人期にまで至ることもあります。

「大人の緘黙」とは、こうした成人期の緘黙のことを指して言われます。 わざわざ「大人の」という言い方がされるのは、子どもの緘黙ばかりが注目されがちだからでしょう。

なお、成人期に初めて緘黙になったという事例は、なかなか聞きません。

大人の緘黙は存在する

症例報告、緘黙の会、インターネットに見える大人の当事者

成人期の緘黙の報告は、少ないながらも古くからありました。 以下のリンクは、2014年現在で、私が確認した成人期の緘黙に関する文献を、かなり大雑把にですが概観したものです。

↓ 場面緘黙症Journalブログへのリンク。
◇ 大人の緘黙症、国内の研究を見る(5)  (新しいウィンドウで開く

「かんもくの会」という会には、かなりの数の成人当事者と保護者がいるそうです。 同会の名簿上の会員数は、2014年11月10日現在で283名、 そのうち当事者(経験者)が122名で、この当事者会員は高校生以上の年齢から募集しているのですが、 122名中ほぼ全員が20代から50代の成人だったそうです(久田ら, 2015)。 また、家族会員の子どもたちの約27%(154人中42人)は、20代から30代後半までの成人だったそうです。

インターネット上では、少なくとも2000年頃から、成人期になっても緘黙が持続している当事者たちが、自らの声を発信するなどしてきました。

海外でも認識されつつある大人の緘黙、BBCも取り上げる

成人期の緘黙は、海外でも認識されつつあります。 早い段階では、米国の大手緘黙支援団体 Selective Mutism Group が、2001年から2007年にかけて、 ホームページ上に Adults with SM と題するコーナーを設け、 膨大な数にのぼる成人当事者の投稿を掲載して問題提起を行なっていました。

現在、英国に成人や10代の緘黙当事者、並びにその家族のための支援グループ iSpeak が存在します。 iSpeak の共同創立者のお一人は成人期の緘黙を経験された方で、 成人期の緘黙をテーマとした200ページ以上にのぼる学位論文を発表されています。

↓ iSpeak ホームページへのリンク。
◇ Selective Mutism research  (新しいウィンドウで開く

2015年には、英国の公共放送 BBC が、成人期の緘黙を正面から取り上げています。

↓ iSpeak ホームページへのリンク。
◇ Selective mutism: 'I have a phobia of talking'  (新しいウィンドウで開く

また、同じく2015年には、英国心理学会のブログが、成人期の緘黙に関する研究をテーマとする記事を投稿しています。

↓ 英国心理学会ブログへのリンク。
◇ The experiences of adults with "selective mutism", in their own words  (新しいウィンドウで開く