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場面緘黙症の出現率は、調査によってまちまちなのですが、1%以下の低い確率という報告が多いです。
どの報告にもほぼ共通するのは、男児よりも女児に多いということです。
■ 日本の調査
◇ 0.2%
日本で著名な『場面緘黙児の心理と指導』では、1959~1980年までの研究が総括され、
緘黙の発生率は「子ども1000人に対して2、3人の割合で存在」と推定されています(河井, 1994)。
また、比較的最近の研究では、次のようなものがあります。
◇ 0.4%、0.2%
厚生労働省が全国の18歳未満の児童のいる世帯を対象として行った「全国家庭児童調査」によると、
平成6年の調査で0.4%、平成元年で0.2%の割合で緘黙が発見されています。(厚生労働省, 2001)
これを細かく見ると、平成6年の調査では、未就学0.2%、小学校1~3年0.4%、小学校4~6年0.6%、
中学校0.3%、高校等0.4%です。また、平成元年の調査では、未就学0.0%、小学校1~3年0.2%、小学校4~6年0.1%、
中学校0.2%、高校等0.4%です。
◇ 0.1%
静岡市の幼稚園・保育園・保育施設97園を対象にした調査による数字です(長谷川, 金田, 1996)。
◇ 0.032%
北海道の上川管内における小中学校235校の数字です(村本, 1983)。他の調査と比べても、かなり低い出現率です。
より細かく見ると、小学生0.027%、中学生0.041%です。
なお、場面緘黙症の診断基準は1987年、1994年に更新されているので、この率については注意が必要です。
■ 海外の調査
◇ 0.7%(厳密には0.71%)
最近、アメリカでは場面緘黙症の出現率は0.7%とする数字がよく広まっています。
"twice as common as autism"「自閉症の2倍」(例えば、Cole 2006)などという言い方がされることもあります。
2005年4月12日の The New York Times に掲載された記事 "The Child Who Would Not Speak a Word"
(Brown 2005)、
2006年1月29日に TIME に掲載された記事 "Why Abby Won't Talk"(Cole 2006)、
さらに最近では、2006年11月16日の CBSニュース がこの数字を紹介しています。
この数字の出典は、2002年にアメリカの学術誌に発表された、
幼稚園~小学1、2年生を対象とした調査です(Bergman et al., 2002)。
また、イスラエルでも 0.76%という報告がなされています(後述)。
◇ 0.18%
スウェーデンの大学の研究グループによるものです(Kopp 1997)。10,000万人に18人と、低出現率ですが、それでも「場面緘黙症は、以前の研究で示されたものよりも、より一般的なものであった」(Selective mutism was more common than suggested by earlier studies.) と要約で結論づけられています。以前の研究では、もっと低確率と考えられていたのでしょうか?
◇ 0.76%
2003年に発表されたイスラエルの研究ですが(Elizur & Perednik 2003)、2002年のアメリカの調査とほぼ同じ数字です。
◇ 2%以上
行動療法による場面緘黙症の治療法を紹介した『場面緘黙児への支援』は、2%以上という説を紹介しています。
1%以下の低い率を報告する研究が多い中、目を引きますが、その出典は、おそらくフィンランドの小学2年生を対象にした調査ではないかと思います(Kumpulainen et al., 1998)。この調査の場面緘黙症の診断基準は1987年のDSM- III-Rであり、少し古いです。
(11/02/2010)
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