場面緘黙症Journal

場面緘黙(かんもく)症。選択性緘黙。Selective Mutism。
学校など特定の場面で話せない症状です。


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■ ご注意

ここでは、一般的な治療法を解説しています。

また、筆者の研究対象が今のところ欧米の緘黙関連が中心のため、 ここでご紹介する治療法は欧米流のものに偏っています。

■ 薬物療法

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤が治療に採用されることがあるようです。 脳内の神経伝達物質の分泌がバランスを失うと不安が強くなると考えられていますが、 こうした抗うつ剤はその分泌量を調節します。

海外では様々な抗うつ剤が発売されており、中でもプロザックについては場面緘黙症の専門家の間でよく試され、 治療に効果を上げた例が多数報告されています。(例えば、Dummit et al., 1996; Berger et al., 2002)。 しかし、プロザックは日本では認可されていません。 日本で認可されているものは、パキシル、ルボックスなどです。

こうした薬物には場面緘黙症児の不安を和らげる働きがありますが、それだけで症状が治るとは限りません。 行動療法との組み合わせは効果的だという報告もあります(Shipon-Blum)。

ただし、学術的にはまだ十分に効果が立証されたとは言えません。

■ 行動療法

行動分析では、場面緘黙症は学習された行動と考えます。不安を回避し、 特定の場面で話さないという行動をとり続けると、その行動パターンが強化されます。

行動分析に基づいた治療法は、場面緘黙症児に不安な場面に敢えて暴露(エクスポージャー)させる方法をとります。 暴露は段階的に行ったり、時に褒めるなどのごほうび(好子)をあげたりします。 具体的には系統的脱感作療法、シェイピング法、トークンエコノミー法などです。

Mcholm, E.A., 氏らが著した Helping Your Child With Selective Mutism(邦訳書『場面緘黙児への支援』)は、 行動療法による場面緘黙症児への介入のノウハウを凝縮したもので、評価が高いです。

行動療法を使った場面緘黙症児への介入の有効性は、近年、欧米で 立証されつつあります(Cohan, et al., 2006)。

■ 認知行動療法

行動療法と似た名称ですが、認知行動療法は患者の認知(考え方)を変えることが目的です。例えば、何かの状況に対して極端な恐怖を抱いている子どもの場合、そうした不安がかたよったものであることを認知させるわけです。

認知行動療法が場面緘黙症の介入に効果を挙げたという研究報告があり、有望な治療法と見られていますが、 行動療法に比べればその効果がまだ十分に立証されたとは言えず(Cohan, et al., 2006)、今度の研究が待たれるところです。

■ 家族療法

家族療法は、家族がうまく機能していくように家族の力を引き出すという考え方に基づいた治療法です。

子どもの緘黙が治すためには家族の力は重要で、臨床家は治療の計画・実行に家族の参加を促します。

なお、虐待などの家族病理に焦点を当てた家族療法が特に古くは行われてきましたが、 家族病理と無関係な多くの緘黙症児の家庭には意味をなしません(Dow, et al., 1996)。

■ その他

他にも、遊戯療法、箱庭療法などが行われているようですが、詳しいことについては、筆者はまだ勉強中です。

日本では、遊戯療法はよく行われてきたようです。

※ 言語療法(スピーチセラピー)

特定の場面で話せないとなると、思わず言語療法をすすめたくもなります。 こうした療法は言語障害を持つ子には有効ですが、場面緘黙症児のうち、 実はそうした問題を抱えている人はそれほど多いわけではないのではないかという主張が専門家からはあります (例えば、Schwartz, et al., 2005)。

(08/29/2007)

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