場面緘黙(かんもく)症。選択性緘黙。学校など特定の場面で話せません。


治療法は?

ご注意

ここでは、一般的な治療法を解説しています。また、ここでご紹介する治療法は欧米流のものに偏っています。

重度の緘黙でなければ、例えば学校などでの普段の関わり方の工夫だけで、ある程度の改善は可能でしょう(高木、2012)。

行動療法

行動分析では、場面緘黙症は学習された行動と考えます。不安を回避し、 特定の場面で話さないという行動をとり続けると、その行動パターンが強化されます。

行動分析に基づいた治療法は、場面緘黙症児に不安な場面に敢えて暴露(エクスポージャー)させる方法をとります。 暴露は段階的に行ったり、時に褒めるなどのごほうび(好子)をあげたりします。 具体的には系統的脱感作療法、シェイピング法、トークンエコノミー法などです。

Mcholm, E.A., 氏らが著した Helping Your Child With Selective Mutism(邦訳書『場面緘黙児への支援』)は、 行動療法による場面緘黙症児への介入のノウハウを凝縮したもので、評価が高いです。

行動療法を使った場面緘黙症児への介入の有効性は、近年、欧米で 立証されつつあります(Cohan ら, 2006)。

認知行動療法

行動療法と似た名称ですが、認知行動療法は患者の認知の歪みを正すことが目的です。

認知行動療法が場面緘黙症の介入に効果を挙げたという研究報告があり、有望な治療法と見られていますが、 行動療法に比べればその効果がまだ十分に立証されたとは言えず(Cohan ら, 2006)、今度の研究が待たれるところです。

薬物療法

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤が治療に採用されることがあるようです。 脳内の神経伝達物質の分泌がバランスを失うと不安が強くなると考えられていますが、 こうした抗うつ剤はその分泌量を調節します。

海外では様々な抗うつ剤が発売されており、中でもプロザックについては場面緘黙症の専門家の間でよく試され、 治療に効果を上げた例が多数報告されています(例えば、Dummit ら, 1996; Berger ら, 2002)。 しかし、プロザックは日本では認可されていません。 日本で認可されているものは、パキシル、ルボックスなどです。

こうした薬物には場面緘黙症児の不安を和らげる働きがありますが、それだけで症状が治るとは限りません。 行動療法との組み合わせは効果的だという報告もあります(Shipon-Blum)。

ただし、学術的にはまだ十分に効果が立証されたとは言えません。

薬物療法はアメリカではよく行われていますが、イギリスではあまり好まれていません(Sage ら, 2009)。

■ その他

他にも、遊戯療法、箱庭療法などが行われているようですが、詳しいことについては、筆者はまだ勉強中です。

日本では、遊戯療法や箱庭療法はよく行われてきたようです。